さて、前回は、息子が新小3からena(エナ)に入塾したところまで書きました。
(※enaは、公立中高一貫を得意とする進学塾です)
前回の話はこちらです。
私たち家族のプロフィールは、こちらです。
今日は、その続きを書きたいと思います。
息子が中学受験をすることを決めて、SAPIXに転塾することにしたきっかけですが、実は、とても理不尽で悲しい出来事です。
本当は、私もあまり思い出したくない過去ですが、もしかしたら同じような経験をされて悩んでいる方もいるかもしれないので、あえて書いていきます。
学校の勉強は簡単すぎてつまらない、と言っていた息子ですが、enaの先生のことは大好きで、塾には楽しそうに通っていました。
3年生に進級して間もない日、担任の先生から「お話ししたいことがある」と電話があり、小学校に出向きました。
そこで見せられたものは、赤い絵の具で汚され、マジックで「死ね」と落書きをされた、息子の机の写真でした。
机の中を確認すると、「キモい」「死ね」など息子に対する暴言が殴り書きされた紙も、何枚か出てきました。
「これは…、イジメですよね?」
と聞いた私に、担任の先生は
「いやぁ、イジメというわけではないと思います。単なる悪ふざけだと思いますが…」
全く危機感のない返答でした。
誰がやったのかも分からないとのこと。
すぐにスクールカウンセラーと面談して息子のメンタルサポートを、担任の先生には、今後も彼の周辺を注視して変わったことがあればすぐに連絡してもらうようにと、お願いしました。
帰宅して息子に話を聞くと、誰がやったのか知っているし先生にも話したけど、相手は否定しているとのことでした。
そして、以前から数人のクラスメイトから、暴言や暴力などの嫌がらせを何度も受けていたことが発覚しました。
体にいくつか殴られた痣ができていることにも、この日、初めて気が付きました。
かくして、いじめを隠蔽することに必死の学校・教育委員会と、せめて我が子の身の安全を確保して、安心して通学できるようにして欲しい!と懇願する私達との、闘いの日々が始まりました。
その日から、私は毎日、息子の体に新しい痣や傷がないか確認して写真を撮り、何があったのか尋ね、学校の対応も含め詳細をすべて記録しました。
学校とは何度も話をして、加害児童を含む子ども達への指導を申し入れ、時には相手の親にも話をしましたが、その後も息子への暴力はひどくなる一方でした。
むしろ、先生や親にバレて叱られるたびに、大人の目を盗んで行う、より巧妙で陰湿なイジメになっていきました。
ランドセルや、Tシャツの背中から土を入れる。パンツの中まで土が入ったまま帰宅したこともありました。
廊下を歩いて来る息子を物陰に潜んで待ち、足をかけて転ばせて数人で蹴る。お腹を蹴ると痛がるからと、わざとお腹を狙え、などと言っていたそうです。
胸ぐらを掴まれ頭をコンクリートの壁に打ち付けられて脳震盪をおこし、保健室で手当てを受けていたこともありました。
この日は先生からは何の報告もなく、帰宅して「頭が痛い」と言っていた息子から経緯を聞いて、慌てて救急病院に連れて行きました。
すべて、小学3年生の同級生に、実際にされたことですが、もはや警察に通報してもいいレベルの犯罪です。
息子は「人を蹴ったり殴ったりしてケガをさせたら、傷害罪でしょ?どうしてママも先生も、警察に言わないの?お巡りさんを呼んで、あいつらを捕まえてもらって!」と、たびたび私に訴えてきました。
私は、彼のまっすぐな正論を前に、警察への通報を躊躇している自分の心中を、どう説明すればよいか分かりませんでした。
今思えば、本当に一度、警察に通報すれば良かったと後悔しています。
警察が学校内での小学生の暴力行為に対して、実際にどこまで動いてくれるかは分かりませんが、警察から電話の1本でも入れば、学校も教育委員会ももう少し危機感をもって対応してくれたかもしれません。
同じクラスには、他にも不登校児がいたり、ADHD(注意欠陥多動性障害)と見受けられる児童が複数いたりして、授業はほぼ崩壊していました。
経験値のない新卒1年目の担任教師には、手に負えない状態であることは明らかでした。
2学期になると、頻発する暴力行為のたびに私と話すことが億劫になったのか、担任の先生はだんだん我が家に報告をしてこなくなりました。
当然、加害児童の両親らに全く説明もしていませんでした。
新任であの学級を受け持つことになってしまった先生には、お気の毒ではありますが、児童の身の安全の確保という最低限の義務を果たしておらず、教師として完全に失格です。
当時、学級の保護者会には、いつも教頭先生が同席して、「クラスがまとまってきている」「児童も落ち着いてきている」などと嘘を言って、諸々の問題をごまかすことに終始していました。
私が問題提起をする発言や質問をすると、加害児童の友達の母親らから「イジメられる方に原因がある」とか「横やり発言で授業を妨害する行為は、暴力と同じ」などの倫理観も論点もズレた、心ない攻撃を受けて、当時は私も心が折れそうでした。
イジメの主犯格で一番暴力的な児童は、スクールカウンセラーの先生に、息子についてこう話したそうです。
「いつもヘラヘラしているくせに、勉強ができるのが気に入らない。」
母親はPTA役員、父親は一流企業に勤務、姉は優等生…そして教育熱心な家庭のお子さんだそうです。
息子の生意気ととられる態度が、先生や友達の反感を買ってイジメを助長するということは分かっていたので、私も彼に何度となく言い聞かせました。
でも悪意のない「生意気な態度」や「偉そうな言い方」をあらためさせること…、
そもそも「生意気」とか「偉そう」という、状況に応じて変わる曖昧な言葉の指すところを、物ごとを論理的に理解しようとするタイプの息子に納得させるのは、なかなか難しいことでした。
学校・教育委員会との話し合いと並行して、心療内科でのカウンセリング、弁護士への相談、引越の検討…と、あらゆる手段を講じながら、私たち親子の辛く苦しい闘いは、約1年ほど続きました。
この苦境から、どうやって私たち夫婦が息子を救い出したのかは、また後日に。
長文を、ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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