つよく やさしく かしこい子に育て!

SAPIXから難関中高一貫校に進学した1男1女の子育て回想録

我が子がイジメにあったら…ママにして欲しいこと。

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息子が中学受験をすることにしたのは、小学校でひどいイジメに遭っていたことがきっかけだったと、以前書きました。

以前の日記はこちらです。


転校させる、という決断

当時は、私も夫も、学校や教育委員会と何度も話し合いや申し入れをして、とにかく息子が普通に安心して学校へ通えるように、最低限の身の安全を確保して欲しいと伝え続けました。

加害児童へのカウンセリング、その親たちへの現状の報告、見て見ぬふりをしている他の児童への善悪の指導も、もっと徹底して実行して欲しい、と再三にわたってお願いしました。

しかし、ことが大きくなって問題化するのを嫌う学校と教委の、イジメ事実の隠ぺいに終始する、危機感のない態度は、1年間、ずっと変わることはありませんでした。

一方で、2学期になってもなかなか改善されない状況に、私たちは「この子の命を守るためには、この学校を逃げ出すしかないかもしれない。」と思い、落ち着いた学習環境の転校先と家探し、自宅の売却の準備も進めていました。

4年生への進級時にはクラス替えがない学校でしたので、このままでは更に1年、イジメの加害児童全員と同じクラスになってしまいます。

それは避けなければいけないと考えていました。

結局、新年度までに、なんとか自宅を買い替え、別の学校区に引越して転校させることで、やっと息子をイジメ被害から救うことができたのです。

民事訴訟をおこさなかった理由

私は、当時、あまりにも誠意のない学校と教育委員会の対応、そして、自分の子の罪を認めようとしない加害者の親たちを断じて許すことはできず、謝罪と損害賠償を求める民事訴訟を起こすことを考えて準備していました。


イジメが発覚した当初から、弁護士である友人に助言をもらっていて、訴訟の際の証拠となる、怪我や痣の写真や医師の診断書、話し合いの際の音声データ、イジメ被害の詳細な記録も、全て取っていました。

でも、最終的に、引越と転校を決断したことを伝えると、彼女は、「ある程度の損害賠償や慰謝料の請求はもちろん可能だけれど。」としながらも、

「もし、お金が欲しいわけじゃないのなら、息子さんのためには、訴訟は見送る方が良いと思う。裁判になると、彼に過去の辛い体験を何度も思い出させることになるから。新天地ではすべて忘れて、家族で明るく前向きに未来に進んでいって欲しい。」と言ってくれました。

私は、その助言に従い、息子の心のケアと中学受験のサポートを優先することに決め、訴訟は起こしませんでした。

 

私のサロンに来る若いお母さん方には、雑談がてら、時々こうお話ししています。

もしも、我が子がイジメにあってしまったら…

ママは、全面的に子どもの味方になること

たとえ世界中を敵に回しても、私はあなたの味方であり、必ずあなたを全力で守るという意志、あなたは1人ではない、ということをしっかりと伝えて、子どもの気持ちに寄り添ってあげて欲しいと思います。

子どもの話を最後まで、遮らずに聞いてあげてください。

あなたが、こんなことするからイジメられるのよ。」は、禁句です。
決して言わないであげてください。

学校でひどいことをされて傷ついて家に帰ってきて、ママにまで自分を否定されたら、子どもの心は行き場がなくなって、壊れてしまいます。

実は、イジメが発覚した当初、私も息子にそういう類のことを言ってしまいました。

幼い彼の心を傷つけてしまったことは、後悔してもしきれず、今でもその時のことを思い出すと、胸が締め付けられるような深い自責の念に駆られます。

息子に暴力をふるっていた子どもたちがそうでしたが、卑劣なイジメ行為は、加害者側の子どもの方に問題があり、家庭環境やストレスなど心に何かしらの闇を抱えていることが多いと感じました。

仮にもし、何か気に入らないなどの理由があったとしても、人の心や体を傷つける行為は、絶対にしてはいけない犯罪行為だと教えるべきです。

悪いのは、卑怯なイジメをしている方です。

私は、息子がイジメの加害者側でなかったことを、むしろ誇りに思っています。

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相手の親とは、直接話さないこと

私も含めて、親と言うものは誰でも、自分の子どもが悪いことをしているとは認めたくないものです。

口頭で、お宅の子どもにやられたと伝えても、「まさか、うちの子が理由もなくそんなことをするはずがない。先に何かよほどひどいことをされたのでは。」と思うものなのです。

我が子が「やってない」と嘘をついても、親はそれを信じようとします。

電話や直接対話だと、お互いが感情的になり、相手も頑なになってしまって、逆に解決からは遠のいてしまうことが多いです。

実際に経験して身に染みて分かっていますので、相手の親との直接交渉は、おすすめしません。

私は、ある加害児童の親と電話で話をした時に、
「普段めったに泣かない子が、涙ながらにやってないと言っている。嘘をついているのは、そちらだ。
と言われました。

また、別の親には、

「今どきの子どもは『死ね』だとか『キモい』なんていう言葉は、いつも気軽に使っているのでは。そのくらいのことで、いちいちイジメだとか騒がないでもらいたい。」

と言われて、愕然としました。

そういう親には、私は「一度、スクールカウンセラーの先生に話を聞きに行かれてはいかがですか?お宅のお子さんが、いつもどんなことを息子にしているか、先生はよくご存じですから。」と言ってやり、カウンセリングを受けるように促しました。

スクールカウンセラーの先生なら、その子の悪行の詳細と、その行為の根本的な原因が家庭にもあることを、冷静に説明して諭してくれると思ったからです。

 

証拠を確保して、冷静に立ち向かうこと

それでも話にならない親には、壊されたものや体の痣の画像、医師の診断書のコピー、動画や音声などの、決定的な証拠を、詳細なイジメ被害の記録とともに内容証明郵便で送りつけ、もしまた同様のことがあった場合は、警察に通報も辞さない、法的措置に訴えると、書面で冷静に通達するのが良いと思います。

私は、ついでに病院でCTを撮った際の治療費の請求書も、同封してやりました。
(第三者行為は10割負担なので、高額です

さすがにその後しばらくは、その親も子も、おとなしくなりました。

学校で張り込んだこともあります。

教室の扉の陰に潜んでイジメの瞬間をおさえ、暴言の音声を取った上で加害児童をつかまえて、職員室に引っ張っていきました。

そして、精一杯の冷酷な顔で、「次は迷わず警察に届けますよ。」と言ったら、その子だけはその後ピタリと暴力行為をしなくなりました。


本来は、先生方がそういう指導をするべきだとは思いますが、本当に対応が残念過ぎる学校でしたので。

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学校の先生は、保身のために嘘をつきます

子どもが学校を休みたいと言いだしたら、無理に行かせないでください。

当時、息子が2日ほど学校を休んだ時、担任の先生が家まで来て、「みんな君を待っているよ。先生もちゃんと守ってあげるから、学校に来て欲しい。」と、息子を説得したことがありました。

息子は「先生がボクを守るって言ってくれたから…」と、勇気を出して翌日は学校に行ったのですが、あろうことか、その日の午後、先生は研修で不在

その間の自習時間に、またボコボコにやられて帰ってきました。

先生は嘘つきだ。もう絶対に信じない。」と悔し泣きをする息子の姿に、私は先生の無責任なその場しのぎの言葉を鵜呑みにして登校させたことを、心から後悔しました。

当時、息子の他に、もう1人長く不登校だった児童がいたので、クラスの中に何人も不登校児がいると、先生や学校の評価に響く…とかいうような、大人の事情のために、彼を迎えに来たのかもしれません。

息子の気持ちを踏みにじる、いい加減な担任の言動と、それをフォローしない学校の不誠実な対応は、思い出すと今でも怒りがこみ上げてきます。

逃げる勇気は、とても大切です 

イジメっ子がいる教室に行くのが嫌なら、保健室や図書室に避難させてもらうように交渉する、それも無理なら学校なんて行かなくても、自宅で勉強すれば良いと思います。

息子は、スクールカウンセラーの先生の相談室が、駆け込み部屋になっていました。


そして、最後の手段。

あらゆる手立てを講じても、学校や加害児童の親に誠意がなく状況が改善できないと思う場合は、とにかく、そこから連れ出して逃げること。


大切な我が子の身に、何かあってからでは遅いのです。

秋ごろには息子に、加害児童の幻覚や、自分を襲いにくるという悪夢を見たり、夜中に急に悲鳴をあげる夜驚の症状までもが、現れるようになっていました。

8歳の小さな子どもが毎日受ける暴力の恐怖は、大人の私たちには想像できないハードなものだったのだと思います。

頻繁なイジメ行為は、学級崩壊と同時に起こっていることも多いようです。

担任の先生の力量不足や不適切な対応で、クラスが統率できない状況になっているのです。

公立校の教師は、その能力のレベルも様々ですから、息子の担任のような無責任で教師としての資質に欠ける担任にあたってしまうこともあります。

それは、こちらにはどうすることも出来ないことです。

学級崩壊のような状況にいたってしまっていると、なかなか個人の力で改善させるのは難しいと思います。

親はとにかく我が子の命を守ることを最優先にして、引越転校私立への編入なども選択肢として早めに考えておくべきだと思います。

 

息子を連れて逃げて、本当に良かった…

私たちにとって、不幸中の幸いだったのは、良いスクールカウンセラーの先生に巡りあえて、最後まで温かく手厚く対応してもらえたことでした。

先生が、これまでのトラブルの経緯や、息子の特性に関する情報をきちんと引き継いでくれたおかげで、転校先の学校では、最初から学年の先生方が色々と配慮してくださり、その後は大きなトラブルもなく、穏やかな学習環境で無事に卒業することができました。

新たに住宅ローンも組んでしまい(笑)、経済的な負担は増えましたが、思い切って引越する決断をして本当に良かった…

転校後は、普通に、安心して、平穏な学校に、我が子を送り出せることのありがたみを、しみじみと実感しました。

息子がイジメを受けていた1年間は、私たち家族にとって本当に辛い日々でしたが、その苦しい経験がきっかけで、彼は中学受験を強く希望してSAPIXに転塾しました。

そして、生徒の個性を尊重して伸ばすことに重きをおく、素晴らしい建学の精神が引き継がれた今の学校へと導かれました。

あの頃、学校に居場所のなかった息子が、今では、ありのままで自分らしく、のびのびと楽しそうに学校生活を謳歌しています。

子どもがイジメを受けて、自分たちの手ではどうすることもできない状況になってしまったら、逃げる、という選択肢はアリです。

とにもかくにも、子どもの命を守ることが、最優先事項ですから。

息子が転校した後、大津市での中学生いじめ自殺事件をきっかけに、いじめ防止対策推進法が施行されました。

これによって、旧態依然としていた学校の、イジメ問題に対する認識と対応が、良い方向へと変わっていくことを、願ってやみません。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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